2014年05月08日

【トカバニ出張版02】

「世間的にはGWだったらしい」

「いやあんたもそうだったでしょうが」

「馬鹿野郎。俺様にはゴールデンウィークなんかねえよ。毎日が日曜日だ」

「死にたくならない?」

「ときどき」

「ニート生活って無関係な立場から見れば羨ましいけど『じゃあ実際なってみろ』と言われたら絶対お断りだね」

「言っておくが、やるべきことは明確にあるから『決まった予定がない』ってだけで休みでもなんでもないぞ」

「ああ、そりゃそっか」

「それでも最初の三ヶ月は余裕がある。半年越えたあたりで寿命がゴリゴリ削られる」

「なるほど。ねえ。なんで死んでないの?」

「おまえ全国の就活中人間から袋叩きにされるぞ」

「だってあたしには無理だもん。そんな穀潰しみたいな生活、絶対耐えられない」

「俺はまさにそれなんだよ! 就職活動がようやく軌道に乗ってきたから耐えられてんだよ!」

「ごめんごめん。怒んないでよ。そもそも正確にはニートじゃないんでしょ? 学籍残ってるんだから」

「まあな。来年三月には卒論出さなきゃならん。あー、今思い出したが学費振り込んでねえや。早く行かないと」

「はよ行け」

「明日行く。もう銀行閉まってる」

「何やってんだか」

「おい、ゴミを見るような目で見るな」

「違うよ。ゴミを見てるの」

「おまえアタリが強すぎねえか!? 覚えてろよ!?」

「じゃあ今日一日何をしてたか、言ってみなさい」

「面接行ってた」

「ほお。何時から」

「それを聞くか」

「ほれほれ、正直お答えくださいな」

「二時から!」

「燃えるゴミでいいよね?」

「分別しようとするな!」

「で、GWの話。けっこう充実してたなー。鴨川シーワールドとか行ったりしてさ」

「おまえが水族館行くのってコントみたいだな」

「魚がたくさん泳いでたよ」

「ふーん」

「どれもおいしそうだった」

「マジかよ超行きてえ」

「そのあとはお寿司食べて、帰ってきた」

「……」

「デッカイ生け簀があってさー。もう魚がピチピチ跳ねてんの。最高だよ。生臭くないし」

「水族館のあとに躊躇なく寿司屋行くのって、俺やおまえくらいだろうな」

「牧場見たあとにジンギスカン食べたりするでしょ? 同じ同じ」


...closed.

in_450thearth at 17:46│Comments(0)横尾劇場 

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