2014年03月11日

ベニヤ合板と垂木で白い壁を作った時のメモ

とある劇団の舞台美術を手伝っていた。
舞台美術をやるのは、初めてである。
正確に言うと、これを書いている時点で公演は終わっていないので過去形では変なのだが、俺の役目はほとんど終わっているのでそう書いている次第だ。

どういうことを手伝っていたか、内容を書こう。(サイズ単位はmmです。)
それは一応自立する白いパネル(およそ3755×2270)を、垂木(30×40×3600)とベニヤ合板(1830×920×2.5:サブロク)を材料にして制作するというものだった。ちなみに一人で。

おおまかな段取りとしてはこうだ。
まず図面を描いて必要な部材を把握し、それをもとに材木店さんから材料を貰い受ける。
次に、もらった材料を然るべき大きさに切り、ビスと釘でつなぎ合わせる。
そして白ペンキを、ローラーで一面塗りたくり、乾いたら劇場に搬入して、組み立てるというわけだ。

俺は920×2270×40の木パネルを4枚作り、パネルの横に付けて支えとする300×2270×30の横木枠を2枚作ることにした。
もしかすると「そんなんで立つのか?」と怪訝に思う方もいるかもしれない。その疑念は正しい。実際自立しない。
だが、これは劇場内の壁際に立て、紐で倒れないように固定する設計にしたので、今でも問題なく立ち上がっている。嘘だと思うなら公演期間中に早稲田のLIFTに行けばいいだろう。

また、演出から「キレイな板にしてほしい」というお達しがあったので、それなりに工夫する必要があった。

作り終わった今だからラフに書いているけれど、作っている段階ではよくわからないで不安な点ばかりで、結構俺は困っていた。

まず道具がない。
新たに買うものが多くあり、それが少々頭を悩ませた。
方法もよく分からない。
結構ミスしてしまい、無駄な端材を多く出してしまった。
だがこれは、プログラミングでコンパイルなどのエラーを沢山通じて、コーディングを段々と学んでいくプロセスと同じように、大いなる学習となった。

正直メモるべきことが多すぎて、この記事だけでは書ききれないだろう。
でも、続編を書くのも大変だし、ちょっとめんどくさい。
なので、ここで簡単に箇条書きで述べきってしまおうと思う。まぁ、そんなに読む人も居ないだろうしな。

●のこぎりの引き方
いきなりごりごりやろうとすると切り口が美しくないし、まっすぐ切れない恐れがあるので、はじめは優しくすりすりと入り口を作ってやるのである。
刃が良ければ、自分ではほとんど力を入れず、重力だけで切れるので、道具の手入れは大切だ。

●けがき
うろ覚えだがプログラマーの格言にたしか「自分が書いたコードも3日経てば他人のコード」というのを聞いたことがある。
ケガキも同様だと思う。過去に木材に書いた印は、次第にその意味を忘れ去られてゆくのだ。
だから、コードにコメントを書くように、数字や記号などをちゃんと書いて分かりやすくすることが大切だ。
数秒の怠惰には、数十分もの困惑を生む危険あるのだ。
コンパイルエラーだったら単にテキストファイルを書き換えればいいかもしれないが、木材だと何回もやり直そうとすると取り返しのつかないことになりかねないこともあるので、注意しとかなくてはならない。

●木材は歪む
湿気や置き場所によって木材は曲がってしまい、正確な形にならないことが多々ある。設計段階では読めない問題も多いので、舞台美術では現場力が肝要となる。

●ベニヤ合板すべすべにするには
キレイな壁にする、という指示を満足させるために俺はとりあえず、ベニヤ板を紙やすりで研磨していた。
これですべすべになってゆくのだが、当然時間がかかる。下手をすると納期に間に合わなくなってしまうので、広範囲の場合は完全に非推奨だ。
手っ取り早いのは、いきなり研磨するのではなく、ベニヤの面にパテを薄く塗りこみ、木目を埋めてしまい、そのあとに軽くやすることだった。

●ペンキをパレットに移す
缶からいきなりドバッてやると、蓋がかぴかぴに固まってしまい、開けにくくなってしまう。なので、おたまやスプーン、レンゲのようなすくうアイテムが必要だ。これは作業場にいたTさんを見て、学んだ。

●ビスが垂木に入らない時は
ドリルドライバーなどを使っていても、ビスが奥まで入りきらないことは多々ある。
それを無理に押しこもうとするとネジ穴が潰れてしまうので、その時は落ち着いてビスを抜いて、ビットをドリルに入れ替えて、穴を少し広げてやるほうがいい。そうしたら、すーっと入るようになる。

●他人と共同で作業する時は
みんな似たようなものを使用しているので、必ず名前や印を付けておくこと。
また、「あれ?そこに置いておいたのに、ない!?」といったようなモノの紛失はバカバカしいながらも、あり得る話だ。
なので、ホームセンターで腰や肩にぶら下げる道具バッグを付けておくほうがいい。これらの道具はいわゆるキャッシュだけでなく、安全のためにも貢献する訳である。

●ペンキは薄塗り2〜3回がベネ

●ツナギを着ていても、塗料が染みこんでくる場合があるから油断するな。

●筆記用具は複数種類持つこと。

●激安の養生テープはのりが弱すぎるので、本当に仮止め以外に使ってはならない。

●金がたまったら、もっと馬力のあるインパクトドライバーを買うべし。便利になる。

こんなところだろうか。

舞台美術にも工業製品の生産やシステムの開発、建築の建設などの知恵を活かして行きたいトコロです。
勉強!

taishudoor at 19:00│Comments(0)大周 

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