2013年07月06日

+14/「なにそのリアクション……」みたいな気分です。

「珍しいな、ぼーっとして」

「トーコか」

「先ほどから本のページが進んでいないぞ」

「んん、ぼーっとしてた」

「……」

 冷蔵庫の紅茶をカップに注ぎ、

「バイトは慣れたか?」

「……んー」

「なんだ、その煮え切らない返事は」

「いやさぁ。あの人、どうにもわかんないとこがあって」

「店長のことか?」

「うん」

「日本は初めてだから、いろいろ戸惑うこともあるのだろう」

「そうじゃなくて。あれはなんというか……中二っぽい?」

「は?」

「だから中二病。どーにも中二くさいところがあってさ、変わってるといえばそれだけの話なのかもしれないけど」

「どういうところが」

「七夕が近いじゃん? で、ちょっと『うちでも何かしましょうか』って言ったんだよ」

「笹でも飾ろうかと」

「うん。だけど、店長は七夕を知らなかった。――まあそれは予想の範囲で、七夕について説明したら」

『不思議な行事ですね。夜の星は魔の眼光だというのに。この世界の宗教では、星に願うのですか?』

「ふむ」

「夜の星を魔の眼光って解釈する宗教とか慣習って、どっかの国にはあるわけ?」

「聞いたことがないな」

「だよね」

「なに、彼女は少々特殊な出自だから仕様がなかろう」

「特殊ねぇ。トーコは店長のこと、知ってるわけ?」

「一応は」

「ふーん。ま、いいんだけどさ」

 ぐっ、と伸びをして

「ふぁーあ、やっぱ外で働くのと家事は違うなあ。慣れない労働で疲れちゃった。もう寝る」

「ああ、おやすみ」

in_450thearth at 22:35│Comments(0)

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