2013年06月
2013年06月30日
+13/面接なんて初めてなので、要領がわかりません。
「……――――面接は以上です。お話を伺ったところ、困った点はありませんので採用させていただきます」
「本当ですか!」
「はい。つきましては、近日中に出勤してほしいのですけれど、いつからがよろしいでしょうか?」
「明日からでも」
「それでは早速ですが、明日の九時にお越し下さい」
「わかりました。よろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いいたします」続きを読む
「本当ですか!」
「はい。つきましては、近日中に出勤してほしいのですけれど、いつからがよろしいでしょうか?」
「明日からでも」
「それでは早速ですが、明日の九時にお越し下さい」
「わかりました。よろしくお願いします」
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in_450thearth at 22:30|Permalink│Comments(0)
2013年06月26日
+12/黙祷されたり祈られたり。
「え、あいつらは人の皮を被った悪魔じゃないの?」
「就活中の子にこの話題はまずかったわね……」
「お祈りをメールなんかで済ませるんじゃねえよ! どうせ祈るんならテメーの一生を使ってあたしに祈り続けろ!」
「ムチャクチャな上に逆ギレよね、それ……」
「おまえの場合、高校卒業する前に就活しねーのが悪いんだろうが」
「トーコさんに相談してみればどうかしら?」
「ダメダメ。あんなインドア文筆家にコネなんてあるわけないじゃん。ていうかとっくに聞いたし」
「あらそう」
「……そんなに言うんだったら、俺、心当たりあっけど」
「そんなこと言って風俗に売り飛ばす気ね。ゼンちゃんサイッテー!」
「おまえぶっ飛ばすぞ」
「法律とかに引っ掛からなけばどこでもいい。どこ?」
「丸子の学校のほうに本屋があんだろ。あそこだよ」
「いや行ったことないけど。そこ店員募集してんの?」
「バイトで給料は激安らしいがな。正社員雇用はアリだとよ」
「バイトかぁー」
「なになになに! アイちゃん、レンさんとこで働くの!?」
「あんたも地獄耳だな。知ってるんだ?」
「もちろん! マグノリア書房の女主人といえば、S級眼鏡女子として超話題じゃん! 主にうちの中で!」
「本人に言うなよそれ」
「へえ、女の人なんだ」
「ゼンちゃんもいつの間にかそんな人と仲良くなるなんて、隅に置けないわね?」
「表現が古ぃよ、オカマ野郎」
「ふーん。じゃあ明日あたり行ってみるわ」
「これでアイちゃんもプーから卒業だねっ!」
「ははは。うた、今日晩メシ抜きね」
「アイちゃんのイケズゥー!」
「就活中の子にこの話題はまずかったわね……」
「お祈りをメールなんかで済ませるんじゃねえよ! どうせ祈るんならテメーの一生を使ってあたしに祈り続けろ!」
「ムチャクチャな上に逆ギレよね、それ……」
「おまえの場合、高校卒業する前に就活しねーのが悪いんだろうが」
「トーコさんに相談してみればどうかしら?」
「ダメダメ。あんなインドア文筆家にコネなんてあるわけないじゃん。ていうかとっくに聞いたし」
「あらそう」
「……そんなに言うんだったら、俺、心当たりあっけど」
「そんなこと言って風俗に売り飛ばす気ね。ゼンちゃんサイッテー!」
「おまえぶっ飛ばすぞ」
「法律とかに引っ掛からなけばどこでもいい。どこ?」
「丸子の学校のほうに本屋があんだろ。あそこだよ」
「いや行ったことないけど。そこ店員募集してんの?」
「バイトで給料は激安らしいがな。正社員雇用はアリだとよ」
「バイトかぁー」
「なになになに! アイちゃん、レンさんとこで働くの!?」
「あんたも地獄耳だな。知ってるんだ?」
「もちろん! マグノリア書房の女主人といえば、S級眼鏡女子として超話題じゃん! 主にうちの中で!」
「本人に言うなよそれ」
「へえ、女の人なんだ」
「ゼンちゃんもいつの間にかそんな人と仲良くなるなんて、隅に置けないわね?」
「表現が古ぃよ、オカマ野郎」
「ふーん。じゃあ明日あたり行ってみるわ」
「これでアイちゃんもプーから卒業だねっ!」
「ははは。うた、今日晩メシ抜きね」
「アイちゃんのイケズゥー!」
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in_450thearth at 16:08|Permalink│Comments(0)
2013年06月25日
+11/たまには本でも読もうかと思って
「いらっしゃいませ、お預かりいたします」
「……」
「680円です」
「……」
「はい、ちょうどお預かりいたします。ブックカバーをお掛けしますか?」
「いりません」
「恐れ入ります」
「……」
「……今日は、お仕事ではないのですね?」
「気づいたんすか。作業着着てないのに」
「もちろんです。いつもお世話になっていますから」
「そりゃどうも。店長さん、いつも一人みたいっすけど、他に店員さんはいらっしゃらないんすか?」
「四月までは一人いたんですが、その人が辞めてしまって」
「へえ」
「誰かを雇おうにも、あまりお金がなくて」
「大変すね」
「そうですね。この世界のことを知るなら、書物に関わる職に就くことが近道だと考えたのですが、うまくいかないものです」
「は? 世界?」
「あ。いえ、なんでもありません。お待たせしました、お品物です」
「……また来ます」
「はい、ありがとうございました」
「……」
「680円です」
「……」
「はい、ちょうどお預かりいたします。ブックカバーをお掛けしますか?」
「いりません」
「恐れ入ります」
「……」
「……今日は、お仕事ではないのですね?」
「気づいたんすか。作業着着てないのに」
「もちろんです。いつもお世話になっていますから」
「そりゃどうも。店長さん、いつも一人みたいっすけど、他に店員さんはいらっしゃらないんすか?」
「四月までは一人いたんですが、その人が辞めてしまって」
「へえ」
「誰かを雇おうにも、あまりお金がなくて」
「大変すね」
「そうですね。この世界のことを知るなら、書物に関わる職に就くことが近道だと考えたのですが、うまくいかないものです」
「は? 世界?」
「あ。いえ、なんでもありません。お待たせしました、お品物です」
「……また来ます」
「はい、ありがとうございました」
in_450thearth at 16:29|Permalink│Comments(0)
2013年06月24日
+10/ゲーム
「ゲームはやっぱりゲーム機でしょ! 電池の保ちとか操作のしやすさとかは、やっぱりゲーム機が上!」
「そうなの? 最近はスマホのおかげで、けっこうすごいやつ出てるって聞くよ」
「えー、だってケータイの電池ってあんまり保たないんだもん。ゲーム自体もシンプルすぎるし」
「そんなもんか。ま、あたしは携帯電話自体持ってないけど」
「アイちゃんやめて! 切なくなる情報を付け加えないでいいから! 貧乏なのは知ってるからッ!」
「人を乞食みたいに言うな。あんな発信器持ち歩く人間の気が知れないってだけ」
「ケータイゲームはねぇー、ステータスの数値に支配されすぎてておもしろくないんだよ。あと操作性悪いし」
「なんか難しいこと言ってる」
「そんなうちは最近、ポケモン青にハマってるよっ!」
「なんであんたはそう時代と逆行したがるのか」
「みっちゃんの最近のお気に入りは?」
「は? 私ですか?」
「あんたはまた唐突に話を振るな」
「たまにトーさんのiPad借りてゲームやってるじゃない。何してるの?」
「あれだろ、最近の小学生はパズドラとかいうのが流行ってんだろ」
「はあ、たまにオセロしてますけど」
「……このお子様は、また中年リーマンみたいなことを……」
「みっちゃん趣味が渋すぎるよ! だがそこが萌える!」
「ていうかみつさぁ、うちには暇人代表みたいな女子高生がいるんだから、オセロならコイツとすればいいんじゃないの?」
「イェーイ! アイちゃん辛辣ぅ!」
「うたちゃん、ぷよぷよ勝負してから私と遊ぶときに仏様みたいな顔をするんです」
「ああ、トラウマ化してんのか」
「んー、みっちゃんと遊ぶのは大歓迎なんだけどぉ……。みっちゃん、ぷよぷよとオセロならどっちが得意?」
「オセロです」
「ハンデありならいいよ!」
「コイツ情けねえ!」
「そうなの? 最近はスマホのおかげで、けっこうすごいやつ出てるって聞くよ」
「えー、だってケータイの電池ってあんまり保たないんだもん。ゲーム自体もシンプルすぎるし」
「そんなもんか。ま、あたしは携帯電話自体持ってないけど」
「アイちゃんやめて! 切なくなる情報を付け加えないでいいから! 貧乏なのは知ってるからッ!」
「人を乞食みたいに言うな。あんな発信器持ち歩く人間の気が知れないってだけ」
「ケータイゲームはねぇー、ステータスの数値に支配されすぎてておもしろくないんだよ。あと操作性悪いし」
「なんか難しいこと言ってる」
「そんなうちは最近、ポケモン青にハマってるよっ!」
「なんであんたはそう時代と逆行したがるのか」
「みっちゃんの最近のお気に入りは?」
「は? 私ですか?」
「あんたはまた唐突に話を振るな」
「たまにトーさんのiPad借りてゲームやってるじゃない。何してるの?」
「あれだろ、最近の小学生はパズドラとかいうのが流行ってんだろ」
「はあ、たまにオセロしてますけど」
「……このお子様は、また中年リーマンみたいなことを……」
「みっちゃん趣味が渋すぎるよ! だがそこが萌える!」
「ていうかみつさぁ、うちには暇人代表みたいな女子高生がいるんだから、オセロならコイツとすればいいんじゃないの?」
「イェーイ! アイちゃん辛辣ぅ!」
「うたちゃん、ぷよぷよ勝負してから私と遊ぶときに仏様みたいな顔をするんです」
「ああ、トラウマ化してんのか」
「んー、みっちゃんと遊ぶのは大歓迎なんだけどぉ……。みっちゃん、ぷよぷよとオセロならどっちが得意?」
「オセロです」
「ハンデありならいいよ!」
「コイツ情けねえ!」
in_450thearth at 16:07|Permalink│Comments(0)
2013年06月23日
+9/友達百人できるかな。
「みっちゃんは今年度から新しい小学校みたいだけど、どお? もう慣れた?」
「ええ、それなりに。慣れてしまえば、クラス替えと特に変わりませんでした」
「最初は緊張したんだ?」
「はい。転校なんて初めてなので、緊張しました」
「質問攻めさせたり?」
「いえ、他のクラスメイトも今年度がクラス替えの学年でしたので『見覚えがないだけの生徒』として気にされませんでしたね」
「良かったじゃない」
「もちろん目ざとい生徒には軽く質問させましたが、知れてます。気にしているのは自分だけでしたね」
「そっか。友達できた?」
「忘れた教科書を見せてもらうていどの友達はできました」
「それって友達じゃなくねーーダァ! 何しやがんだよカマ野郎!」
「ゼンちゃんは余計なこと言わないの。いいじゃない、学校生活がふつうに送れるのならそれで充分よ」
「そういうものでしょうか。一般論で言えば、もっと友達を作るべきではないかと考えますが」
「あはは、そんなの一般論じゃないよー。友達なんてできるときにできるものなんだからさ」
「そうね。アイちゃんをご覧なさい? 身近な友達なんて一人もいないようだけど、平気な顔してヌケヌケと生きているでしょう?」
「本人がいないとこでずいぶんな言いようだな」
「とにかく、小学校のころのお友達なんて会わなくなればそれまでなんだから、無理する必要はないわ」
「それは少し排他的な意見のような」
「そんなことないわ。それに百人の友達よりも一人の親友って言うでしょう?」
「なるほど、参考になります」
「……いや。ドヤ顔してるが、こいつもそんなに友達多くねえからな?」
「ええ、それなりに。慣れてしまえば、クラス替えと特に変わりませんでした」
「最初は緊張したんだ?」
「はい。転校なんて初めてなので、緊張しました」
「質問攻めさせたり?」
「いえ、他のクラスメイトも今年度がクラス替えの学年でしたので『見覚えがないだけの生徒』として気にされませんでしたね」
「良かったじゃない」
「もちろん目ざとい生徒には軽く質問させましたが、知れてます。気にしているのは自分だけでしたね」
「そっか。友達できた?」
「忘れた教科書を見せてもらうていどの友達はできました」
「それって友達じゃなくねーーダァ! 何しやがんだよカマ野郎!」
「ゼンちゃんは余計なこと言わないの。いいじゃない、学校生活がふつうに送れるのならそれで充分よ」
「そういうものでしょうか。一般論で言えば、もっと友達を作るべきではないかと考えますが」
「あはは、そんなの一般論じゃないよー。友達なんてできるときにできるものなんだからさ」
「そうね。アイちゃんをご覧なさい? 身近な友達なんて一人もいないようだけど、平気な顔してヌケヌケと生きているでしょう?」
「本人がいないとこでずいぶんな言いようだな」
「とにかく、小学校のころのお友達なんて会わなくなればそれまでなんだから、無理する必要はないわ」
「それは少し排他的な意見のような」
「そんなことないわ。それに百人の友達よりも一人の親友って言うでしょう?」
「なるほど、参考になります」
「……いや。ドヤ顔してるが、こいつもそんなに友達多くねえからな?」
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- 「4月から転勤」と言われたらどうしますか? に参加中!
in_450thearth at 22:37|Permalink│Comments(0)
+8/なかなかうまくいかないとき
「おはよー。うい、台所いるんだったらお茶ちょうだい」
「おはようって時間? もうすぐお昼よ」
「まだ午前中じゃん。セーフセーフ」
「はいはい。どうしたの? そんな不景気なお顔して」
「んー、寝てなくて」
「寝なさいよ。昨日何してたの?」
「なんか悶々としちゃってさー……ES書いてた」
「ESって何かしら?」
「あんた大学四年でしょうが。エントリーシートのこと」
「ああ、エントリーシートね。ふうん。そんなので受かるESが書けるのかしら?」
「知らないよ。どーせ頭捻ったって落ちるんだし」
「え、何。また落ちたの?」
「またとか言うな。……落ちたけど」
「あらま」
「あらまじゃねえよ。マダム気取りか」
「アタシはよく知らないけれど、就活センターみたいなのって、一般にもあるんじゃないかしら? そこで見てもらえばいいじゃない」
「行ったことあるけど、あそこあんまり役に立たないんだよね。当たり前のことばっかで、具体策なんも提供してくれないし」
「そうなの」
「そーなの」
「それは残念だったわね。紅茶にミルク入れる?」
「むしろミルクだけでいいかも」
「じゃあホットミルクにするわ。五分でいいから待ってなさいな」
「うん。はちみつ入れてくれる?」
「任せなさいって」
「おはようって時間? もうすぐお昼よ」
「まだ午前中じゃん。セーフセーフ」
「はいはい。どうしたの? そんな不景気なお顔して」
「んー、寝てなくて」
「寝なさいよ。昨日何してたの?」
「なんか悶々としちゃってさー……ES書いてた」
「ESって何かしら?」
「あんた大学四年でしょうが。エントリーシートのこと」
「ああ、エントリーシートね。ふうん。そんなので受かるESが書けるのかしら?」
「知らないよ。どーせ頭捻ったって落ちるんだし」
「え、何。また落ちたの?」
「またとか言うな。……落ちたけど」
「あらま」
「あらまじゃねえよ。マダム気取りか」
「アタシはよく知らないけれど、就活センターみたいなのって、一般にもあるんじゃないかしら? そこで見てもらえばいいじゃない」
「行ったことあるけど、あそこあんまり役に立たないんだよね。当たり前のことばっかで、具体策なんも提供してくれないし」
「そうなの」
「そーなの」
「それは残念だったわね。紅茶にミルク入れる?」
「むしろミルクだけでいいかも」
「じゃあホットミルクにするわ。五分でいいから待ってなさいな」
「うん。はちみつ入れてくれる?」
「任せなさいって」
in_450thearth at 11:09|Permalink│Comments(0)